BIM/CIMに取り組む際に必要となる、BIM/CIM対応ソフトウェア。どのソフトを選ぶべきか悩みどころです。この記事は、前後編の2回に分けてお届けします。前編では、失敗しないBIM/CIM対応ソフト選びに必要な基本知識から4つのポイントまでやさしく解説。後編の「【目的別・比較】BIM/CIMソフト12選!目的別おすすめソフトを比較。特徴・機能を徹底解説!」では、リクワイヤメントに沿って、活用目的別のおすすめソフトを紹介します。 

BIM/CIM対応ソフトはなぜ必要なのか? 

BIM/CIMとは
図 BIM/CIMの概念 

BIM/CIM導入の第一歩は、BIM/CIM対応ソフトの検討からはじまります。 

BIM/CIM対応ソフトを導入することで、3次元モデルの作成や編集、属性情報の付与など、BIM/CIMモデルを構築・一元管理・利活用することが可能となります。 

ただし、BIM/CIM対応ソフトといっても、その機能や特徴はさまざまです。次の章から、自社に最適なソフトを選ぶための選び方の4つのポイントを解説していきます。 

失敗しないBIM/CIM対応ソフトの選び方 

作成するBIM/CIMモデルの「種類」は何か? 

BIM/CIMモデルの種類
図 BIM/CIMモデルの種類
「BIM/CIM活用ガイドライン(案)」(国土交通省)をもとに作成

まずは、作成したいモデルの種類を確認しましょう。 

BIM/CIMモデルの種類は、「BIM/CIM活用ガイドライン(案)」のなかで6種類に分類されています。地形モデル、地質・土質モデル、線形モデル、土工形状モデル、構造物モデルの5種類と、これらを組み合わせ、作成用途に応じて表す統合モデルの6種類があります。 

業務で作成が必要となるモデルの種類をあらかじめ確認しておきましょう。 

作成するBIM/CIMモデルの「目的・用途」は何か?  

令和3年度BIM/CIM活用業務のリクワイヤメント6項目 
図 令和3年度BIM/CIM活用業務のリクワイヤメント6項目
「令和5年度のBIM/CIM原則適⽤に向けた進め方」(国土交通省)をもとに作成

同じBIM/CIMモデルの種類を作成するソフトでも、各ソフトの機能や特徴は様々です。 

BIM/CIMモデルの活用方法や自社の得意とする業務、業務上の課題がわかっていれば、目的や課題、提案をサポートしたり付加価値を提供できる機能を備えたソフトに絞り込むことができます。 例えば、住民説明などの対外説明の場面で景観検討にBIM/CIMモデルを利用したいのか、それともリスクに関するシミュレーションを行いたいのかによって最適なソフトは異なります。

どんな目的で活用したいのか、また、何を「見える化」したいのか、どのような解析やシミュレーションを行いたいのか明確にした上で検討することが大切です。 

BIM/CIM業務のリクワイヤメント項目を確認したり、解決したい課題を踏まえて、BIM/CIMモデルの活用方法を検討しましょう。さらに、自社の業務内容や強みと相性の良いソフトを選ぶことで、BIM/CIMは生産性向上や成果品質の向上、高付加価値の提供などの効果を発揮します。 

導入コストは?補助金の対象となるソフトか? 

BIM/CIM対応ソフトはさまざまな支払い方法があります。たとえば、ソフトそのものを買う「永久ライセンス制」や、一定期間の使用権を得られる「サブスクリプション制」などがあります。 

買い切り型の永久ライセンス制で購入したソフトは固定資産となりますが、サブスクリプション制で購入したソフトは経費で落とせたり初期費用が抑えられるなど、それぞれにメリット・デメリットがあります。支払い方法による違いを理解したうえで、自社のコストや使用環境を踏まえ、検討しましょう。 

BIM/CIM対応ソフトは導入コストがネックですが、「IT導入補助金」制度を活用すれば、導入コストを抑えることができます。 

機能要件を満たした製品か? 

各BIM/CIMモデルの納品ファイル形式
ガイドラインで規定されているBIM/CIMモデルの納品ファイル形式
「BIM/CIMモデル等電子納品要領(案)及び同解説」(国土交通省)をもとに作成

候補のソフトを絞ったら、国土交通省の要件を満たしているか、購入前に確認しましょう。 

国土交通省ではBIM/CIM対応ソフトに関する要件を国内で独自に定め、この要件を満たすソフトを選定するよう求めています。異なるソフトで作成したデータでも情報交換の際に支障をきたすことがないよう、ソフトの互換性を確保することは、今後、BIM/CIMモデルを関係者間で一元管理し、利活用していくために重要だからです。 

具体的には、ソフトの互換性の要件として、BIM/CIMモデルの納品ファイル形式に関する要件を定めています。BIM/CIMモデル6種類のうち、地形モデル、線形モデル、土工形状モデルがJ-LandXML形式、構造物モデルがIFC形式で納品することとなっています。このIFC形式、J-LandXML形式に関するガイドラインに対応していると検定で認められ、合格したソフト製品を選びましょう。 

J-LandXML対応ソフト製品の確認 

「BIM/CIM活用ガイドライン(案)」では、「LandXML1.2に準じた3次元設計データ交換標準(案)Ver.1.4」に対応したソフトを選定するよう定めています。

「LandXML1.2 に準じた 3 次元設計データ交換(案)Ver.1.4」に対応したソフトとして検定に合格した製品は、下記のサイトから確認できます。 

「OCF 認証ソフトウェア一覧(LandXML)」(一般社団法人OCF)
URL:https://ocf.or.jp/kentei/land_soft/

IFC対応ソフト製品の確認 

「BIM/CIM活用ガイドライン(案)」では、「土木モデルビュー定義2018」に対応したIFC対応ソフトを選定するよう定めています。「土木モデルビュー定義2018」に対応したソフトは、検定合格ソフトとして公開されていますのでご確認ください。 

「IFC検定合格ソフトウェア一覧」(一般社団法人 buildingSMART Japan )
  URL: https://www.building-smart.or.jp/ifc/passedsoft/

なお、IFCやその要件内容の詳細については「土木IFC対応ソフトウェア確認要件(案)」に詳しく書かれていますので、必要に応じてご参照ください。 

活用目的や用途にあった最適なソフトを選びましょう 

本記事では、失敗しないBIM/CIM対応ソフトの選び方やポイントを紹介しました。ソフト選びの準備として、まずはご紹介したポイントをおさえておきましょう。記事後編では、目的別におすすめソフトを紹介しながら、各ソフトの特徴や強みを解説します。BIM/CIM対応ソフトと一言でいっても、作成できるモデルは異なります。また、ソフトの機能や特徴によって、作成したBIM/CIMモデルの活用方法もさまざまです。記事後編を参考に、各ソフトの特徴を把握したうえで自社に最適なソフトを検討しましょう。