AECC(Architecture, Engineering & Construction Collection)とは、Autodesk社が提供する建築・土木・建設業向けのBIM/CIMツールセットです。
 
BIM/CIMプロジェクトにおいて、AECCに含まれる各ソフトウェアを効率よく活用するには、適切な環境設定が欠かせません。Civil 3D、InfraWorks、Navisworks、ReCapといった主要ソフトウェアの初期設定を最適化することで、作業効率と品質の向上が期待できます。
 
本記事では、AECCの各ソフトウェアの作業がしやすくなるおすすめの設定を紹介します。 
 

Civil 3D

Civil 3Dは土木設計・測量向けの3次元CADソフトです。地形モデルの作成や道路・河川の設計、平面線形・縦断計画・横断図の作成に対応しています。
 
Civil 3Dを使用する際は、日本仕様に対応したJ-toolの導入が推奨されます。
 
詳細は以下の記事をご覧ください。
Civil 3D®日本仕様 Jツール (J tool)ができること~ダウンロードや機能の概要を画像付き解説

 

システム設定

Civil 3Dの基本的なシステム設定を適切に行うことで、安定した作業環境を確保できます。

変数名設定値内容
FILEDIA1ファイルダイアログを有効化(初期値・推奨値)。ファイル操作時に視覚的なダイアログが表示され、操作性が向上します。
DELOBJ-2-2に設定すると、操作の確認ダイアログが表示され、誤操作を防止します。(初期値は3)

 

インターフェース設定

作業効率を向上させるためのインターフェース設定を行います。
 

ステータスバーの表示項目

  • 2Dオブジェクトスナップ
  • 線の太さ表示
  • 選択の循環(重なったオブジェクトの切り替え)

 

ピックボックスのサイズ

ピックボックスサイズを標準サイズよりやや大きめに設定することで、オブジェクトの選択がしやすくなり、作業効率が向上します。
 

右クリックの挙動

「ショートカットメニューを常に表示」に設定することで、コンテキストメニューに素早くアクセスできます。
 

画面カラーの調整

長時間の作業における視認性と目の疲労軽減を考慮した設定です。

  • テーマ:ライト(明るい)
  • 作業領域:白に設定(視認性向上のため)

 

Civil 3D特有の設定

Civil 3D特有の設定をします。
 

ワークスペース設定

用途に応じてワークスペースを切り替えます。

ワークスペース名用途例
Civil 3D標準の土木設計ワークスペース
製図と注釈軽量な図面作成・注釈作業
3Dモデリング3次元設計や可視化に最適
計画と解析設計計画・GIS・解析作業に対応

 

InfraWorks

InfraWorksは、3D都市モデリングおよびインフラ設計の検討に特化したソフトウェアです。適切な設定を行うことで、日本の地理情報システム(GIS)との連携を最適化でき、広域な地域スケールでの土木インフラの計画・設計・可視化に対応します。
 
都市やエリア単位の設計検討において、3Dモデルを迅速かつ効率的に作成できるため、コンセプト段階からの設計支援ツールとして最適です。
 

座標系設定

推奨座標系: JGD2011-08-ITRF94(2025年4月から JGD2024 に順次移行)
 
日本測地系に基づく座標系を使用することで、国内の地理情報データとの正確な位置合わせが可能になります。
 

マウス操作設定

3D環境での効率的なナビゲーションを実現するため、マウス操作の設定を最適化します。ズームやパン、回転操作の感度が調整されることで、より直感的な操作が可能です。
 

ファイル形式設定

InfraWorksでは以下の拡張子を持つファイルを扱います。

拡張子主な役割保存場所注意点・設定ポイント
.sqliteモデルのメインデータベース(設計情報や属性情報を管理)モデルフォルダ直下単体では機能せず、直接の編集は非推奨です。
定期的なバックアップを推奨します。
.filesモデルの実体データ(地形・画像・3D表現など).sqliteと同名のフォルダ削除や名前の変更は避け、.sqliteファイルと常にセットで運用します。

 
InfraWorks®についてはこちらの記事も参考にしてください。
InfraWorks®入門:国土地理院の航空写真の読み込みと水域の透過設定完全ガイド

 

Navisworks

Navisworksは、さまざまなBIM/CADデータを統合し、3Dモデルを用いて干渉の有無を確認したり、干渉チェックや4D施工シミュレーションができるのが特徴です。施工工程のシミュレーションが可能で、設計・施工の情報共有や合意形成に活用します。
 

インターフェース設定

効率的なモデル検討を行うためのインターフェース設定を行います。
 

ビューポイントの規定

標準的なビューポイントを設定することで、チーム内でのモデル確認作業を標準化できます。
 

非表示/必須属性の保存

プロジェクトの要件に応じて、表示・非表示の設定を保存することで、検討作業の効率化を図ります。
 

外観のオーバーライド

モデルの外観設定を上書きすることで、検討目的に応じた視覚化が可能になります。
 

ファイルリーダー設定(DWG/DXF)

余分なスムージング実行:オフ
 
DWG/DXFファイルの読み込み時に、余分なスムージング処理をオフに設定することで、元のデータの形状を正確に保ち、処理速度も向上します。
 
Navisworks 2025の新機能についてはこちらの記事も参考にしてください。
Navisworks® 2025の新機能解説:プロパティ情報が詳細に!面積や長さの確認も

 

ReCap

ReCapは、現実世界の情報をデジタル化するためのデータキャプチャおよびモデリングソフトウェアです。点群データや写真測量データを基に3Dモデルを生成し、ドローンやレーザースキャナーで取得した情報を処理して、後工程の設計ツールで活用できます。
 

点群データの読み込み設定

大容量の点群データを効率的に処理するための設定をします。メモリ使用量を最適化し、処理速度を向上させることで、スムーズなデータ処理が可能です。

プロジェクト設定

プロジェクトの規模や要件に応じて、適切な設定を行います。座標系の統一、精度の調整、出力形式の指定など、後続の作業工程を見据えた設定が重要です。
 

まとめ

AECCの各ソフトウェアにおける適切な環境設定は、BIM/CIMプロジェクトの成功に欠かせません。
 
Civil 3DでのJ-toolの活用から始まり、InfraWorksでの座標系設定、Navisworksでの統合モデル検討、ReCapでの点群データ処理まで、各ソフトウェアの特性を活かした設定を行うことで、作業効率の向上が期待できます。
 
これらの設定は、プロジェクトの開始時に行うことで、その後の作業をスムーズにします。品質を継続的に維持・向上させながら、プロジェクトの進行状況に応じて設定を見直すとよいでしょう。