Revitの「ファミリ」について、カテゴリやタイプとの違い、ファミリの種類とそれらの違いについて、やさしく図解で解説します 。Revitの用語や基本概念を押さえておけば、参考書などで学ぶときに理解が深まり、実践にも役立つでしょう。基本をいまさら聞けないという方も、ぜひ一緒にあらためて確認しましょう。

ファミリとは

ファミリとは、例えるなら、プラモデルの「パーツ(部品)」のようなものです。Revitの図面上で、さまざまな要素を部品のように組み合わせて構造物モデルを組み立てていきますが、この構造物を構成する要素を総称して「ファミリ」と呼びます。

 また、ファミリを組み合わせて作成した構造物全体を「プロジェクト」と呼びます。 

カテゴリとタイプとの違い 

カテゴリ、ファミリ、タイプは階層名 

「ファミリ」に似たもので、「カテゴリ」と「タイプ」があります。 これらは要素を階層的なグループに分類したときの、階層名のようなものです。つまり、要素の抽象度もしくは具体度が違います。

例えば、「柱」という要素を3階層に分類すると、「柱」(大分類)、「柱の形状などによる種類」(中分類)、「柱のサイズ、寸法」(小分類)といったように分けられます。 この大分類を「カテゴリ」、中分類を「ファミリ」、小分類を「タイプ」と呼びます。 

わたしたちが日常会話でよく使う階層は「カテゴリ」レベルですが、建設現場で使用する建材は「ファミリ」レベルになるでしょう。また、何か発注するとき、目的や用途に見合った「タイプ」レベルの情報を確認し、カタログで探して注文する、といった具合に階層が下がるほど詳細度が高くなります。 

カテゴリ、ファミリ、タイプの順で設定 

Revitで実際に操作する際に、どのような場面で「カテゴリ」「ファミリ」「タイプ」を使うのか簡単に紹介します。「システムファミリ」(ファミリの一種。説明は後述)を例にすると、わかりやすいでしょう。

要素を選択する際には、まず要素のカテゴリから選択し、ファミリ、タイプの順に選択または設定していきます。

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ファミリの種類 

Revitのファミリには、3種類あります。 この3種類は、汎用性の高さ、もしくは自由度の高さが大きく異なります。

ファミリの種類

  • システムファミリ
  • コンポーネントファミリ
  • インプレイスファミリ 

わたしたちRevitユーザーがファミリ3種類のうち、どれを使用するかは、目的や用途に合わせて選ぶことになります。さまざまな場面で広く用いることができる汎用性の高いファミリを使うのか、それとも特定の目的や用途に沿ってカスタマイズできる自由度が高いファミリを使うか、という観点で選ぶことになるでしょう。 

この3種類のファミリは、服装で例えるなら、それぞれ「制服」「既製品」「オーダーメイド」のようなものです。ファミリ3種類を服装の種類になぞらえて、それぞれの違いや特徴をみていきましょう。 

システムファミリ 

システムファミリとは

システムファミリとは、Revitにあらかじめ組み込まれている、基本的なファミリのことを指します。 

服装で例えるなら、学校で指定され、色やデザインが決められた「制服」のようなものです。制服の靴、通学用カバン、制服用リボンなどの要素があるように、Revitのシステムファミリにも、様々な要素(オブジェクト)があります。 

Revitにあらかじめ含まれているシステムファミリの要素は、壁、床、天井、カーテンウォール、階段、手すりなど、 建築設計で使用されるものが多くあります。Revitはこれまで建築分野で活用されてきましたから、建築分野で使用頻度の高い要素が基本機能として組み込まれているのでしょう。

システムファミリの確認方法

システムファミリとして具体的にどのような要素があるか確認したい場合、Revit画面上部のリボンパネルで確認しましょう。 

システムファミリの設定方法 

システムファミリを設定していく際は、ファミリの分類(3階層)にしたがって、選択します。 

具体的には、プロジェクトファイル上のリボン>カテゴリを選択>タイププロパティでファミリ、タイプを順に選択します。 

コンポーネントファミリ(ロード可能ファミリ) 

コンポーネントファミリとは 

コンポーネントファミリはプロジェクトから独立した外部ファイルとして作成されるため、他のプロジェクトでロード(読み込み)して、利用できるファミリです。ロード可能ファミリ、または読み込み可能なファミリとも呼ばれます。 

服装で例えるなら、お店で購入できる「既製品」が近いでしょう。制服よりもより多くのデザインや種類が出回っており、そのなかから用途や目的に合わせて好きなものを選ぶことができます。 

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コンポーネントファミリの確認方法 

コンポーネントファミリは、主にメーカーが提供もしくは販売しているサイトが多数あり、そのなかから選んでダウンロードすることができます。土木分野では建機メーカーがクレーン車などのファミリファイルを無料で提供しており、建築分野では住宅総合機器メーカーがトイレや洗面台、家電メーカーが家具や家電などを提供しています。

例えば、 「Revitユーザー向けファミリ提供サイト」(大塚商会ウェブサイト)を覗いてみると、さまざまな要素のRevitコンポーネントファミリがオンラインショップのように並んでいて、自由に選んでダウンロードすることができます。例えば、TOSHIBAは洗濯機や電子レンジ、クーラーなどの家電、TADANOからは建設用クレーン車といったように、要素別のコンポーネントファミリを利用することができます。 

コンポーネントファミリのロード(読み込み)方法

使用したいコンポーネントファミリのファイル(拡張子はrfa)をダウンロードし、ご自分のパソコンのRevit上で読み込むことで利用できます。 

具体的な操作手順は、リボンの[挿入]タブ>[ライブラリからロード] パネル> [ファミリロード]で読み込みたいファイルを選択し、ロード(読み込み)します。 

インプレイスファミリ 

インプレイスファミリとは 

インプレイスファミリは、プロジェクト内で自由に要素(オブジェクト)を作成できるファミリです。

インプレイスファミリは、服装で例えるなら、「オーダーメイド」に近いイメージでしょう。 用途、目的に沿った1点ものや複雑な形状の要素(オブジェクト)を自由に作成できます。ただし、システムファミリ やコンポーネントファミリに比べて作業量は一般的に多くなります。 

土木分野では、目的や用途に沿った土木構造物をインプレイスファミリを使って作る場面が多いですので、インプレイスファミリの基本的な操作方法を覚えておくとよいでしょう。 

インプレイスファミリの作成方法 

インプレイスファミリは、リボンの[構造]タブ>[モデル] パネル> [コンポーネント]の下矢印をクリック> [インプレイスを作成] を選択して作成します。

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まとめ 

今回は、Revitの基本概念であるファミリについて、ファミリの定義からカテゴリやタイプとの違い、ファミリの種類について解説しました。 

Revitにおいて、ファミリは、基本的な概念であると同時に、構造物を作成する際の基本単位となります。本記事をとおしてファミリについて理解を深めたら、実際に構造物モデルを作る際にはどの要素をどのファミリの種類で作るのかイメージしてみましょう。 それぞれのファミリの種類をうまく使い分けることで、業務の効率化や成果品質の向上につながれば幸いです。 

参考