今回は、BIM/CIMにて使用するソフトとその価格帯について解説します。BIM/CIMの導入が進む中で、「どのソフトを使用すべきなのか」「コストはどのくらいかかるのだろう」と、疑問を抱えている方も多いでしょう。おおよその価格帯を知ることで、導入の検討がしやすくなります。
※本記事でご紹介している価格は、すべて執筆時点(2025年4月7日)の情報に基づいており、今後は変更となる可能性があります。
AECC
AECC(Architecture, Engineering & Construction Collection)とは、Autodesk社が提供する建築・土木・建設業向けのBIM/CIMツールセットです。
AutoCADをはじめ、Civil 3D、Navisworks、InfraWorks、Revit、ReCap Pro、3ds Maxなど、設計・施工に不可欠な複数のソフトが含まれています。BIM/CIMモデルの作成、管理、分析を効率的に行うための統合ツールとして、多くの建設プロジェクトで活用されています。
AECCはサブスクリプション方式で提供されており、価格は以下のとおりです。
プラン | 価格 |
---|---|
月間プラン | 69,300円 |
年間プラン(1年) | 554,400円 |
年間プラン(3年) | 1,663,200円 |
参照:Autodesk Architecture, Engineering & Construction Collection|オートデスク株式会社について
年間プランを月額換算すると、いずれも46,200円です。長期間の使用を予定している場合は、年間プランの方がコストを抑えられます。
TREND-POINT/TREND-CORE
TREND-POINT(トレンドポイント)とTREND-CORE(トレンドコア)は、どちらも福井コンピュータが提供するシステムです。
TREND-POINTは、3D点群処理システムです。膨大な点群データの処理が可能で、i-Constructionや農林水産省「情報化施工技術の活用ガイドライン」に準拠した成果物の作成にも対応しています。
TREND-COREは、重機の可動範囲や危険箇所の「見える化」に対応する3次元CADシステムです。BIM/CIMやi-Constructionの要件に沿ったデータ作成が行えます。
TREND-POINTで作成した計画モデルを、TREND-COREの現況点群に配置することで、大規模かつ高密度な完成イメージを把握できます。
いずれも買い切り型のライセンスとして提供されており、価格は以下のとおりです。
システム名 | 価格 |
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TREND-POINT(標準セット) | 1,200,000円〜 |
TREND-CORE(基本部) | 720,000円〜 |
参照:3D点群処理システム「TREND-POINT」の最新版を2023年10月17日(火)リリース|福井コンピュータ株式会社
参照:BIM/CIMコミュニケーションシステム「TREND-CORE」の最新版、4D施工ステップ表示機能を追加し、2025年2月18日(火)リリース|福井コンピュータ株式会社
上記は基本料金です。オプションを追加することで、価格帯は数十万〜数百万円程度増加する場合もあります。
V-nasClair
V-nasClair(ヴィーナスクレア)は、川田テクノシステムが提供する純国産の3DCADシステムです。オプションツール「Kitシリーズ」を組み合わせることで、設計に特化したモデル作成が行えます。BIM/CIMモデルや点群データを統合的に扱うことができ、統合モデル管理に特化している点が特徴です。
V-nasClairは、サブスクリプション方式で提供されており、ライセンス数によって価格が異なります。
V-nasClair プラン | 価格 |
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V-nasClair(アクティベーション版) | 90,000円 |
V-nasClair(ねっとさーばCloud版) | 180,000円 |
i-ConCIM_Kit(アクティベーション版) | 99,000円 |
i-ConCIM_Kit(ねっとさーばCloud版) | 198,000円 |
※BIM/CIM業務においてはi-ConCIM_Kitも購入が必要となります。
参照:V-nasClair / V-nas 価格・バージョン一覧表|川田テクノシステム株式会社
アクティベーション版は、登録をしたパソコン1台のみで利用できます。一方、ねっとさーばCloud版は、複数のパソコンでライセンスのシェアが可能です。価格帯は90,000〜180,000円と幅があるため、利用状況に即した最適なプランを選択しましょう。
QGIS
QGIS(キュージーアイエス)は、オープンソースの地理情報システム(GIS)ソフトです。高度な地図作成・空間データ分析機能を備えながら、無料でダウンロードできる点が魅力です。
BIM/CIM分野においては、地理空間データの解析や可視化に活用できます。プラグインの活用によって、プロジェクトの要件に応じたカスタマイズも柔軟に行えます。多様なデータ形式にも対応しており、ほかのBIM/CIMソフトとのデータ連携も可能です。
Navismaster
Navismasterは、応用技術株式会社が提供するBIM/CIM支援ツールです。Autodesk Navisworksの拡張機能として動作し、属性付与や管理の効率化をサポートしてくれます。
国土交通省の「NETIS(新技術情報提供システム)」登録製品であり、BIM/CIM導入のスムーズな導入・運用を目指せます。
Navismasterは、サブスクリプション方式で提供されているソフトです。価格は契約するライセンス数に応じて変動します。
ライセンス | 価格 |
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シングルライセンス (4ライセンス未満) | 180,000円 |
マルチライセンス (5ライセンス以上) | 270,000円 |
参照:Navismaster|応用技術株式会社
Navismasterは、AECCと組み合わせて利用するのが一般的です。AECCと同時に購入すると割引が適用される場合があるため、AECCを未導入の場合は同時購入を検討すると良いでしょう。
SketchUp
SketchUp(スケッチアップ)は、Trimble社が開発・提供している3Dモデリングソフトです。直感的な操作性に優れており、建築設計、都市計画、インテリアデザイン、機械設計など幅広い分野で活用されています。デスクトップに加え、iPadやWebアプリケーションなど、場所やデバイスを問わず作業できることも大きな特徴です。
BIM/CIM分野では、設計プロセスの効率化に役立ちます。豊富なプラグインを活用すれば、より高度なモデリングやデータ管理、解析作業も可能です。
SketchUpは、サブスクリプション方式で提供されています。価格は以下のとおりです。
プラン | 価格(月額) | 価格(年間) |
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SketchUp Free | 無料 | 無料 |
SketchUp Go | 17.99USドル〜 | 119USドル〜 |
SketchUp Pro | 49.99USドル〜 | 349USドル〜 |
SketchUp Studio | なし | 749USドル〜 |
参照:プランと価格|SketchUp
SketchUp Freeは無料で利用できますが、機能が限られており、高度な設計や商業利用には適していません。また、SketchUp StudioはWindows専用のため、Macでは利用できない点に注意が必要です。
EX-TREND武蔵
EX-TREND武蔵(エクストレンド武蔵)は、福井コンピュータが提供する土木施工向けのオールインワンシステムです。土木工事に必要な測量計算やCAD、出来形・写真・品質管理、電子納品などの機能がパッケージ化されています。工事全体での共通情報を一元化することで、作業の効率化を図ることが可能です。
EX-TREND武蔵は、買い切り型のライセンスとして提供されています。
プラン | 価格 |
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写真・出来形管理セット | 600,000円〜 |
建設ICT⽀援システム(建設CAD+3次元設計データ作成オプション) | 590,000円〜 |
Co 品質管理・As 温度管理 | 200,000円〜 |
参照:施⼯管理システム「EX -TREND 武蔵」の最新版|福井コンピュータ
なお、2024年に価格の改定が発表されているため、価格は変動している可能性があります。導入を検討される際は、公式サイトから最新情報の確認や見積もりの依頼を行ってください。
まとめ
本記事では、BIM/CIMにて使用するソフトの価格帯を解説しました。ソフトごとに導入形態や機能が異なるため、価格帯は数万〜100万円以上と非常に幅広くなっています。
価格や機能は変動する可能性があります。導入を検討する際は、各ソフトの公式サイトで最新情報を確認することをおすすめします。用途に合ったソフトを選定し、BIM/CIMの環境構築・運用を目指しましょう。