Civil 3D®日本仕様(Jツール)は、日本独自の機能を追加し、より使いやすい環境を整えたオートデスク公式のアドオンです。
日本独自の製図基準にあわせたテンプレートや設計基準、プログラム、サブアセンブリといった、さまざまな機能が提供されています。
今回は、Civil 3D®日本仕様の機能の中でも、利用機会が多い「テンプレート」について解説します。テンプレート活用による、河川関連業務の効率化方法についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
Civil 3D®日本仕様のテンプレートでできること
Civil 3D®日本仕様には、国土交通省、北海道開発局、NEXCO仕様に対応したテンプレートが追加されています。
Civil 3D®日本仕様のテンプレートでできる主なことは、以下のとおりです。
- 平面図の作図支援(図枠、旗揚げ)
- 縦断図の作図支援(図枠、図帯、旗揚げ)
- 横断図の作図支援(図枠、旗揚げ)
- 設計基準のチェック
- 横断勾配擦り付けの計算支援
- 土量の計算支援
Civil 3D®日本仕様のテンプレートには、日本の設計基準に合った旗揚げや測点表示、文字や線形のラベルなどのスタイルが、すでに設定されています。プロジェクトの新規作成時やビューフレーム作成時に、該当するテンプレートを選択するだけで、測量データベースが自動的に作成され、すぐに作業を開始できます。
これまでのような、数値やスタイルを指定する初期設定は必要ありません。スキルや経験の有無にかかわらず、作業の手間や時間の大幅な削減が可能です。
Civil 3D®日本仕様には、テンプレート以外にもさまざまな機能があります。そのほかの機能は「Civil 3D®日本仕様 Jツール (J tool)ができること〜ダウンロードや機能の概要を画像付き解説〜」でご確認ください。
河川関連業務の効率化方法
Civil 3D®日本仕様のテンプレートは、河川関連業務においても非常に役立つツールです。
ここでは、具体的な河川関連業務への適用方法として「河道掘削の土量算出」と「図面作成」を取り上げて解説します。
河道掘削の土量算出
河道掘削では正確な土量算出が欠かせません。土量算出には、現況地形サーフェスと計画サーフェスが必要です。
Civil 3D®では、座標や点群、GISなど、さまざまなデータを用い、現況地形の3Dモデルを作成できます。テンプレートを使用すれば、国土交通省や北海道開発局、NEXCOといった日本の設計基準が適用されるため、精度の高い土量算出が可能です。
テンプレートは、プロジェクト開始時にあらかじめ適用しておく必要があります。たとえば、スタートメニューから「図面の新規作成▽」→ 「_国土交通省仕様_20m測点.dwt」を選択するなどです。プロジェクトに適したテンプレートを選択し、各種設定を行うことで、土量算出の自動化が可能となります。
Civil 3D®には、さまざまな設計基準が設けられています。日本仕様のテンプレートを利用しない場合、データに誤差が生じ、土量算出の精度が低下する恐れがあるため注意が必要です。
Civil 3D®日本仕様にある「横断図数量表」という機能を用いれば、「国土交通省用」や「NEXCO発注用」など、タイプごとの数量表も容易に作成できます。
Civil 3D®日本仕様のテンプレートを活用することによって、正確な土量算出が可能となり、さらにはプロジェクト全体の精度や作業効率も向上するでしょう。
Civil 3D®を利用して土量計算を確認する方法は、「Civil 3D®基本機能|土量計算を横断やサーフェスを使って確認する方法」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
図面作成
河川は自然環境下にあり、複雑な地形となっている場合もあります。現況の条件を十分に把握し、さらに設計基準を遵守した図面を作成することは容易ではありません。
Civil 3D®日本仕様のテンプレートには、国土交通省とNEXCOが定めるさまざまな規制が盛り込まれています。設定した条件がこれらの基準を満たしていない場合、画面には警告が表示されます。これにより、法令違反を未然に防ぐことが可能です。
また、Civil 3D®日本仕様のテンプレートには、条件にあった値を自動的に計算してくれる機能もあります。設計基準を一つひとつ確認する手間をかけることなく、日本の法令に準拠した図面の作成が容易となります。
これまで日数を要していた図面作成が、数時間で完了できるなど、設計期間の大幅な短縮が図れるでしょう。
Civil 3D®日本仕様は、随時アップデートされています。テンプレートやバグの修正、新たなサブアセンブリの追加などが行われているため、「Autodesk App Store」で最新情報を確認することをおすすめします。
まとめ
この記事では、Civil 3D®日本仕様のテンプレートでできること、そして河川関連業務での効率化方法を解説しました。
Civil 3D®日本仕様のテンプレートは、日本の設計基準に準拠した内容となっています。掘削土量の算出や図面作成に役立ち、作業の効率化も図れることから、河川関連業務には欠かせないツールといえるでしょう。