「公式テキスト1冊を、ひたすら読み込む。」

国土交通省登録資格にも指定された、まだ新しい資格「BIM/CIM管理技士」。BIM/CIM活用業務を監理できる人材として、いま発注者側からも注目度が上がっています。けれど、いざ受験となると最初につまずくのが、「公開されている過去問がない」「市販の対策問題集がない」という、なんとも掴みどころのない試験設計。

「結局、どう勉強すればいいの?」そんな疑問を、昨年資格を取得した岡本 洋輔さん(株式会社Malme)にぶつけてみました。聞き手は、恥ずかしながら昨年度の試験で不合格だった彼谷(BIM/CIM HUB編集部)。すでに合格している岡本さんに、勉強法と反省点を伺いました。


BIM/CIM管理技士をめぐる制度概要

BIM/CIM管理技士って、どういう資格?

公益財団法人 日本建設情報技術センター(JCITC)が認定する資格で、端的に言えば「BIM/CIM活用業務をマネジメント・監理できる人材」を認定するものです。3次元モデルを「作成できる」ことだけでなく、業務を適切に遂行し、成果を照査できることに重点が置かれています。

2025年2月には国土交通省登録資格(データ管理部門)に登録され、調査・設計業務の総合評価落札方式で加点評価の対象になり得る位置づけに。データ管理(BIM/CIM)部門で登録されているのは、現時点ではこの資格のみです。

出典:JCITC「BIM/CIM管理技士資格とは?」

2025年度試験の概要(2026年6月28日実施)

主要項目を、以下の表に整理しました。

受験資格は①土木技術関係業務に3年以上の実務経験、②指定学科卒業+2年以上の実務経験、③JCITCが定める専門資格の保有のいずれかを満たす必要があります。詳細・全項目はJCITC「2025年度版 受験の手引き」(PDF)に網羅されていますので、申込前に一度はご一読いただくことを推奨します。

項目内容
実施日2026年6月28日(日) 14:00〜15:30
方式マークシート方式(前年度のCBT方式から変更)
問題数・合格基準全50問・多肢選択式・概ね6割で合格
会場北海道/東京/愛知/大阪/福岡 の5エリア
受験料16,500円(税込)
1次申込2026/3/23(月)〜5/8(金)
2次申込(必着)2026/5/15(金)
合格発表2026/7/31(金)頃
登録証送付2026/9/18(金)頃〜10/1(木)頃

⚠️ 「2025年度試験」とは、いつ実施される試験のことか?

2026年6月28日(日)に実施される試験が「2025年度試験」、その直前に実施された試験(2025年7月6日)が「2024年度試験」にあたります。JCITCの事業年度は9月1日〜翌年8月31日となっており、「今年の6月に実施される試験」が「2025年度」と表記されるのはこのためです。

⚠️ 試験方式がCBT方式からマークシート方式に変更

前回(2024年度/2025年7月6日実施)はテストセンターでのCBT方式でしたが、今回(2025年度)はマークシート方式に戻されました。過去の体験記を参照する際は、それがCBT方式時のものか、マークシート方式時のものかを必ずご確認ください。


岡本さんに、聞いてみた

こんな人です:技術部 岡本 洋輔さん

施工現場で「自分でBIM/CIMを扱えるようになりたい」と思って転職、その延長線上で資格取得まで――という、現場と地続きの受験者です。

BIM/CIM管理技士に合格した岡本さん
項目内容
現在の業務生成AIを活用した開発関連のPM/新事業FDEのPM
前職・経歴土木工事の施工管理 約4年半(明り土工〜山岳トンネル・シールドトンネル)
BIM/CIMとの関わり施工案件のモデリング担当。SiTECH3Dで面データ・3次元設計データを作成
保有資格1級土木施工管理技士、コンクリート技士、BIM/CIM管理技士 ほか

きっかけは社内Slack。「申し込んだ瞬間にスイッチが入った」

編集部
改めて、BIM/CIM管理技士を受けようと思ったきっかけは?

岡本さん
存在を知ったのは、社内のSlackですね。「BIM/CIMに関する資格があるんだ、誕生したんだ」って。

もともと施工管理時代に「自分でBIM/CIMをやれるようになりたい」と思ってMalmeに入った経緯があるので、その延長で「転職した理由をクリアにする1ピースになるんじゃないか」と思って、受けることにしました。

編集部
試験までの勉強期間は?

岡本さん
試験日から遡って、約2か月前から。テキストの発売が3月末だったので、4月からスタートでした。

編集部
最初からガッツリやれた?

岡本さん
いや全然(笑)。最初は1日30分くらい。勉強方法もテキストを読むくらいしか分かってなかったので、いきなり「めっちゃ読むぞ!」って気持ちには正直なれませんでした。

ただ、資格を申し込んだ瞬間に「取るぞ」のスイッチが入って、勉強時間は少なくても毎日続けられるようになりましたね。

まず申し込む」――この資格、対策教材が乏しい分、退路を断つことで自分を動かすのは結構効く戦術だなと、聞いていて改めて思いました。


教材は『BIM/CIM概論』1冊だけ

編集部
使った教材って、概論のテキスト1冊?

岡本さん
はい、基本的にそれ1冊だけです。

編集部
学習ルーティンを聞かせてください。

岡本さん
整理すると、こんな感じでしたね。

時期学習スタイル
スタート直後(2か月前)1日30分、まずはテキストを読み始める
直前3〜4週間(平日)夜に1〜2時間、テキスト反復+用語をWebで調べる
直前3〜4週間(休日)半日くらいかけてテキストを反復で読む
直前3週間〜試験当日公式サンプル問題で出題イメージを固める

編集部
反省点ってあります?

岡本さん
2つあって、まずテキストを通しで読んだのが4回だったんですけど、暗記まで持ち込むには、あと2〜3回は読みたかったなって。

編集部
4回でも、十分すごいと思うんですけど……。

岡本さん
いや、もう2〜3回いっとけば、っていうのと、もう1つは「これは出ないだろう」って判断して飛ばした分野から出題されたこと。プロダクトモデル章の規格まわりとか、電子納品まわりとか。

編集部
私もまったく同じ反省で、結果的に落ちました…。BIM/CIMという言葉でふわっと範囲を狭めずに、テキストをしっかり読み込むべきだったなと思います(泣)。

岡本さんが普段使用している仕事デスク兼今回の資格試験で使用した勉強机

難しかったのは「問題」より「勉強法の不在」

編集部
実際に受けてみて、難易度はどうでした?

岡本さん
難易度的には「難しい方」でしたね。ただ、問題そのものがすごく難しいわけじゃなくて、勉強方法が確立されていないのが一番大きかった。

過去問が公開されていないので、公式HPに出ている類似問題と『BIM/CIM概論』を読み込んで、「こんな問題が出るかも」って予測しながら進める必要がありました。

編集部
めちゃくちゃ分かります。私がよく覚えているのは、1つのグラフの中に小さく書いてある数字が問われるみたいな出題があって、「テキストを網羅的に読んでないと太刀打ちできない」って痛感しました。

岡本さん
うんうん。なので受験が終わった後、「あ、受かったな」って手応えがあったかと言われると、そうでもなかったんですよね。「ちょっと分かんないな」みたいな感じで。

編集部
特に難しかった分野って、どこでした?

岡本さん
個人的には『BIM/CIM概論』の3章・4章・7章ですね。

岡本さんが挙げてくれた3つの章について、内容も添えて整理しておきます。

  • 3章|3次元モデル導入のメリットと海外の動向:日本に閉じない、国際的な背景の理解が必要
  • 4章|建設生産管理システム:電子入札・電子納品など、BIM/CIMモデルから少し離れた領域
  • 7章|プロダクトモデル:ISO、IFC、LandXML…ローマ字略語が並ぶ国際規格の話題

岡本さん
4章とか、「BIM/CIMモデルとあんまり関係ないやん」って思いながら読んでました(笑)。電子納品とかの話なので。

7章はプロダクトモデルで、ISOとかIFCとかLandXMLとか、普段の実務では見ないローマ字の羅列が続くんですよね。テキストを読むだけだと腹落ちしないので、AIやWebで調べながら、自分の中に落とし込んでいきました

編集部
「BIM/CIM管理技士」って名前から想像できる範囲を超えてくる出題、ありますよね。私は測量系の問題でけっこうつまずきました。

岡本さん
確かに。「これは出ないだろう」って読み飛ばした分野からも普通に出題されたので、結論、どの章からも出る前提で読むしかないですね。

編集部
「どの章からも出る前提で、満遍なく」――これがこの試験の基本戦略だと、改めて感じてますね。

「BIM/CIM管理技士」の登録証と登録証票

これから受験する人へのメッセージ

編集部
最後に、これから受験する方への一言を。

岡本さん
出題の傾向が大きく変わっていなければ、2026年版の『BIM/CIM概論』をひたすら読み込めば、おそらく合格できると思います。

シンプルですが、対策教材が乏しいこの試験では、「公式テキストの反復読み」に勝るものはない――というのが岡本さんの結論。そこに「実務から遠い章も飛ばさずに」を加えれば、合格への見取り図はかなりはっきりしてきます。


取材を終えて|「情報がない」試験にどう向き合うか

岡本さんの体験と、不合格者である私自身の反省点を踏まえて、この試験を攻略する3つのポイントをまとめておきます。

  1. 『BIM/CIM概論』を5〜6回以上、満遍なく反復する(4回では暗記まで届かない)
  2. 3章・4章・7章など「BIM/CIMから一見離れて見える章」も読み飛ばさない
  3. 公式サンプル問題+Web上の関連情報で、出題イメージを意識する

2025年度試験(2026年6月28日実施)は、実施方式がマークシート方式に切り替わるなど、受験環境自体もまだ変動期にあります。受験を検討されている方は、JCITC公式サイトの最新情報を都度ご確認のうえ、早めに学習計画を立てることを推奨します。

BIM/CIM HUBでは、今後も資格取得者のリアルな声を継続して取り上げていきます。受験を迷っている方、勉強方法に悩んでいる方のヒントになれば幸いです。


取材協力:岡本 洋輔さん(Malme株式会社)
取材・構成:彼谷 菜々子(BIM/CIM HUB編集部)
取材日:2026年4月22日